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2008/08/01(金)
「 学 校 だ よ り 」 平成20年度7月号
「よわねをはくな くよくよするな」
校 長 野 口 直 人
先日、生徒のための『休業中の生活記録(夏休みのしおり)』の巻頭言に、次のように書き始めました。
“人はどう生きるべきか”を一生の命題とする「祈りの詩人」「癒しの詩人」である坂村真民(1909~2006)の詩は、幅広く愛誦され、その生き方とあわせて、「人生の師」と仰ぐ人はとても多いそうです。
その坂村真民の詩の中から、『七字のうた』を紹介します。
『七字のうた』 坂 村 真 民
よわねをはくな
くよくよするな なきごというな うしろをむくな
ひとつをねがい
ひとつをしあげ はなをさかせよ よいみをむすべ
すずめはすずめ
やなぎはやなぎ まつにまつかぜ ばらにばらのか
最後の行の“雀は雀 柳は柳/松に松風
薔薇に薔薇の香”というのは、「私は私であり、私のままであります。背伸びすることも、気張ることも必要ありません」ということであり、だからこそ、自分を正しく見つめることが大事だと言いたいのでしょう。大リーガーのイチローも、よく、自分が気張らないことを書いたり、言ったりしています。イチローは、気張らないからこそ、次々と、あんなに大記録が生まれたようです。
そして、二行目“一つを願い 一つを仕上げ/花を咲かせよ
よい実を結べ”というのは、「あれもこれもと欲張らず、ただ一つのことを願って、こつこつとそれを積み上げ、自分なりにそれを仕上げなさい」ということです。そのために、生き方としては、一行目の“弱音を吐くな
くよくよするな/泣き言言うな 後ろを向くな”ということが必要だということですね。
夏休みは、特に、この詩のような生活をしてほしいと思います…………………。
ここでは、詩人、坂村真民について、もう少し書いてみたいと思います。
坂村真民は、1909(明治42)年1月6日、熊本県荒尾市に生まれました。8歳のとき、小学校の校長をしていた父親の急逝に伴い、どん底の生活を送ることになりました。5人兄弟の長男として母親を助け、幾多の困難に立ち向かい、甘えを許さない一徹さを身につけました。25歳のときに、朝鮮で教職に就き、終戦後、昭和21年からは愛媛県で高校の国語教師を務め、65歳で退職し、以後、詩作に専念したのでした。
“モタさん”の愛称で知られる医者で作家の斎藤茂太は、『プラス思考がその人を強くする』という本の中で、次のように書いています。「真民さんの詩や文章には、人を包み込むような温かさがある。それは真民さん自身が本物だからなのだ。」
坂村真民の一番有名な詩に、『念ずれば花ひらく』があります。ご紹介します。
『念ずれば花ひらく』 坂 村 真 民
念ずれば花ひらく
苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしも いつのころからか となえるようになった
そうして
そのたび わたしの花が
ふしぎと
ひとつ ひとつ ひらいていった
苦しいときでも、辛いときでも、“夢”さえ持ち続ければ[念ずれば]、いつか叶う[花ひらく]ということです。『七字のうた』でいうと、「ひとつをねがい ひとつをしあげ はなをさかせよ よいみをむすべ」に当たるのです。だから、「よわねをはくな くよくよするな なきごというな うしろをむくな」なのです。
皆さん、イチローのように、夢を叶えましょう!