« 学級閉鎖に伴う学芸発表会への対応について | Main | 学級閉鎖の延長と学芸発表会の延期のお知らせ »

2009/10/29(木)

「学校だより」  平成21年度10月号

Posted by 校長 野口直人 at 10:36 午前
Edited on: 2009/11/13(金) 10:42 午前
Categories: 001_お知らせ, 002_校長より

「 千 日 回 峰 行 」

校 長  野 口  直 人

  世の中のあらゆる人には、大なり小なり、辛いことや苦しいことがあります。その辛いことや苦しいことに、打ち勝ち克服する人もいますが、中には、負けて逃げてしまう人もいます。

  9月28日(月)の朝礼で、生徒達に、「辛いことや苦しいことに負けるなよ」ということを言いたかったとき、9月18日(金)のニュースからお話をしました。それは、天台宗の総本山、延暦寺に伝わる「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」に挑んでいた光永圓道さん(34歳)=大津市、大乗院住職=が、この日に満行し、最後の回峰を終えたというニュースでした。そして、「千日回峰行」の説明をし、この辛くて苦しい行(ぎょう)を行うよりは、私たちが、辛いことや苦しいことに打ち勝つ方がやさしいでしょう、と話しました。だから、どんな辛いことや苦しいことにも負けないで頑張りましょう、と訴えました。

 ここで、改めて、荒行中の荒行といわれる「千日回峰行」についてご説明致します。

  光永圓道さんは「千日回峰行」を満行することによって“大阿闍梨(だいあじゃり)”の尊称を与えられました。この“大阿闍梨”は、戦後13人目で、記録の残っている16世紀末からでもたったの50人目です。
  「千日回峰行」とは、1,000日続けてではなく、7年間にわたる通算で1,000日の行なのですが、全部で地球1周分にあたる約4万㎞の行程を巡礼するのです。
  最初の3年間は、1年のうち100日だけ行が許され、比叡山中を1日30㎞を歩いて255カ所の霊場を巡拝します。続く2年間は、1年に200日、同じ行を行い、この5年間で通算700日となります。ここに至って、9日間の『断食、断水、不眠、不臥(ふが)』の行に入ります。通常、人間が断食・断水状態で生きられる生理的限界は3日間であるとされていることを考えれば、信じ難いほどの苦行であるといえるでしょう。
  この行の後、6年目は、又、100日の行になりますが、1日に歩く距離は60㎞と倍増し、巡拝する霊場は266カ所に増えます。7年目は、前半の100日間が、京都を1日84㎞、300カ所を巡拝します。1日の睡眠時間はたったの2時間、夜中の12時起きて歩き始めるそうです。最後の100日間は、当初の1日100㎞の行に戻ります。これで、合計1,000日間、歩く距離は約4万㎞になります。
  この想像を絶する「千日回峰行」を2度行った人もいるのです。史上、3人いますが、最後は大阪の酒井雄哉さんは、人生の苦しみを背負い、昭和40年39歳で得度し、昭和48年、1度目の「千日回峰行」を開始し、昭和55年、達成すると、半年後、2度目の 「千日回峰行」を断行し、昭和62年7月5日、達成しました。回峰行者の中で、過去最高齢61歳の時でした。

  「私たちと天台宗のお坊さんとは違うでしょ」と言われるかもしれませんが、私は、同じ人間だと思います。同じ人間が、こんな苦行を成し遂げられるんだから、私たちも辛いことや苦しいことを乗り越えられないわけはありません。ぜひ、大人も、子どもも、自分の辛さ、苦しさに、背を向けずに、全力で頑張りましょう。