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2007/12/27(木)

「 学 校 だ よ り 」 平成19年度12月号

Posted by 校長 野口直人 at 11:09 午前
Categories: 001_お知らせ, 002_校長より

「 規 範 意 識 の 向 上 」

校長  野口 直人

  近年、青少年のいじめ、暴力行為、薬物乱用、その他の非行などの諸問題が、社会の緊急課題になっています。また、学校生活の状態としても、校内ルールが守られなかったり、学級集団の規律が乱れたりして、正常な学校生活さえ送ることのできない学校があります。幸い、今の瑞江中学校では、正常どころか、実に落ち着き、生徒のほとんどが毎日楽しく生活しています。しかし、完全ではないし、悪いことをしている生徒も少数ではありますが、いることがわかって います。先述の大きな課題や、大きくはないけれど、本校の課題が生ずる原因は、「規範意識の低下」なのです。だから、今こそ、「規範意識の向上」について、皆様で考えていきましょう。

  そもそも『規範』とは、一定の社会や集団の中で集団生活の維持・向上のために、その成員一人一人に求められる行為の価値基準のことです。この『規範』がさまざまな生活体験の中で内面化されると、それを守ろうとする『意識』が働くようになります。それが、『規範意識』です。簡単に言うと、法令などの社会のルールの大切さを理解し、それらを守ろうとする意識のことです。そして、『規範』の意味や必要性を理解し、『規範』を守っていくことの大切さを納得し、進んで『規範』を守ろうとする意欲を高めていくことを、「規範意識の向上」というのです。

  ある時、ある地域で、『規範意識』について次のような調査をしました。小5、小6、中1、中2、中3、高1の相当数の人達に、10項目について、“いけないと思う”程度を聞いてみました。“とてもいけないと思う”なら“4”、“いけないと思う”なら“3”、“あまりいけないと思わない”なら“2”、“いけないと思わない”なら“1”をつけて平均しました。10項目とは、①子どもがタバコを吸う②万引き③お菓子などの学校への持ち込み④友達を無視すること⑤友達に嘘をつくこと⑥言葉の乱れ⑦靴のかかとを踏みつぶす⑧授業中の居眠り⑨先生への口答え⑩親への口答え、の10項目です。この結果、全体的に、学年が進むにつれて、『規範意識』は低くなるのです。小5の平均は、①から⑩までのすべてが、3から4の間にあるのに、高1の平均は、4から1の間まで散らばるのです。次の結果は、①や②の社会のルールについては、学年が進んでも3から4の間に保たれましたが、⑥⑦⑨などの学校生活に関係の深い項目においては、かなり低く、いけないと思う割合が低いのです。③については、高1で急に低くなりました。

  このような調査によって、「規範意識の低下」の実態が明らかになりました。要するに、悪いことを悪いと思わなくなってきているのです。なぜ、このような事になったのでしょう。それは、次のような社会的な風潮があるのです。「集団や他人のことを考えずに、常に個人の利害得失を優先させる」「他人への責任転嫁など、責任感が欠けている」「物や金銭など物質的なものや、快楽などが優先される」「社会をよりよくしていこうとする努力が軽視される」「もっぱら利便性や効率性が優先される」などです。

  それでは、私たちは、どうやって「規範意識の低下」をくい止めて、「規範意識の向上」を図っていけばいいのでしょうか。

  まずは、学校では道徳の授業や学級活動などで、法やルール、基本的な生活習慣は自分たちの生活や権利を守るためにあることを自覚させ、それらの意義を再確認させるとともに、望ましい生活をする意欲を高めます。自他の権利を重んじ義務を確実に果たすようにさせます。そして、家庭では、“早寝、早起き、朝ごはん”など規則正しい生活に心掛けていただきたいと思います。

  来る冬休みは、一番子どもの生活が乱れる時期、そして家庭や地域においては、一番誘惑の多い時期なんです。1月8日の3学期の始業式の日には、乱れない生活の日々を過ごし、いろいろな誘惑に打ち勝った、規範意識の高い生徒が登校してくれることを期待致します。

 冬休みにも、本校の教育目標「自ら育つ」を忘れずに!