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2008/11/11(火)

「 学 校 だ よ り 」 平成20年度10月号

Posted by 校長 野口直人 at 1:46 午後
Edited on: 2008/11/27(木) 12:29 午後
Categories: 001_お知らせ, 002_校長より

「ルービックキューブとノーベル賞」

校 長  野 口  直 人

 10月に入ってからの朝礼で、全校生徒は国際レベルの才能を見ることとなりました。

  9月のある日、2年生(一班分)と、給食を持ち寄っての校長室での会食を行っていたとき、2年のT君は、ルービックキューブ(ハンガリーの建築家ルービックが、1978年に考案したパズルで、日本でも1980、81年大ブームになりました。毎年、ハンガリーで世界大会が開かれるそうですが、昨年の大会では、1位と3位が、日本人でした。)の6面完成を今年中に20秒を切りたいと話しました。「それはすごい」ということで、「今度、朝礼で全校生徒に見てもらおうか」ということになりました。もう一人上手なのが、同じクラスのU君なので、二人で行うことになりました。

  そして、10月6日(月)の朝礼が、二人のデビューの日となりました。まず、U君・・・・・・・結果は、約52秒。そして次は、T君・・・・・・・結果は、見事29秒。二人とも、満場の拍手を受けました。  
 瑞江中学校の生徒のすばらしい才能の一つでした。

  さて、世界の才能や、その才能による功績を讃えるのが、ノーベル賞であることはよく知られていますが、今年は、日本人が一度に4人も受賞することになり、つい最近、騒がれましたよね。
  受賞の対象になったのは、3人が物理学で1人が化学でしたが、これらの研究の出発のすべてが、「なぜ?」という興味なんですね。
  日本人として16人目(物理学賞の南部さんは、日本人ですが、アメリカ合衆国国籍なのでアメリカ合衆国にカウントされますので、日本としては15人目)のノーベル賞受賞者は、化学賞の下村修さんですが、「なぜ、クラゲは光るのか?」から始まりました。
  自分で光る生物には、クラゲ、蛍、キノコ、サンゴなどがありますが、なぜ光るのか解明できているのはごくわずかです。海にいる生物で、光ることの理由は、海に入り込む太陽光線による自分の影で敵に発見されるのを防ぐよう、光ることにより影を消すためとか、逆に光ることにより敵を脅すためとか、自分の仲間とコミュニケーションを取るためとかが、考えられています。
  下村さんは、「なぜ、クラゲは光るのか?」を研究するために、家族総出で、年間5万匹、今までで数十万匹のオワンクラゲを捕獲したそうです。下村さんが研究していたのは、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州のウッズホール海洋生物学研究所でしたが、下村さんは、土日でも研究所に通い、夜中まで研究し、一週間泊まり込むことも何度もありました。ノーベル賞のための研究には、才能が出発点ではなく、「なぜ?」という興味・関心であり、そして次に必要なのは、長年にわたる研究を続ける『忍耐力』です。下村さんには、それらがすべて備わっていたのですね。
  下村さんがオワンクラゲから発見した、光る原因だった緑色蛍光たんぱく質(GFP)は、今では生命科学の研究現場では欠かせない物質になっています。GFPとその遺伝子によって、たんぱく質を蛍光標識し、ガン細胞が広がる過程などを生きた細胞で観察できるようになったのです。「なぜ、クラゲは光るのか?」が、生命科学の発展に大きく貢献したのです。

  さて、今は、子どもの「科学離れ」が心配されている時代ですが、今回の4人もの日本人のノーベル物理学賞、化学賞の受賞によって、「科学離れ」が解消されていくのではないでしょうか。江戸川区は科学教育センターに力を入れている数少ない区ですが、毎年、希望者が増えて、制限しなければならないくらいです。そのため、中学校では今まで、鹿本中、松江五中、西葛西中の3カ所がセンター校でしたが、来年度からは、小松川一中と本校の2カ所が新たに加わります。従って、瑞江中の生徒も、せっかく本校が科学教育センター校になるのですから、こぞって科学教育センターに応募してください。

  ルービックキューブに見られるような才能と、「なぜ?」という興味・関心と、最後までやり通す『忍耐力』があれば、将来、瑞江中学校の生徒からノーベル賞受賞者が生まれるかも知れませんね。

 瑞江中から、ノーベル賞が“自ら育つ”!