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2008/11/27(木)

「 学 校 だ よ り 」 平成20年度11月号

Posted by 校長 野口直人 at 12:26 午後
Edited on: 2008/11/27(木) 12:29 午後
Categories: 001_お知らせ, 002_校長より

「12月19日(金)は教育課題実践推進校の発表日」


校 長  野 口  直 人

 本校の教育目標は、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『自ら育つ』。
  生徒達は、毎朝登校してくる生徒通用門からも、体育や部活動を行う校庭からも、そして学校生活の大部分を過ごす普通教室からも、この教育目標を、自然と目で見ることができるので、いつも教育目標について意識することができます。それは、本校舎とは別棟の、大きな体育館棟の一番上部のプール壁面に、一字を3メートル四方の看板に書いた教育目標を掲げてあるからです。その字は、前江戸川区長の中里喜一氏の書によるものなのですが、瑞江地域の名物の一つにもなっているすばらしいものです。私も、朝礼を始めとして色々な場で、事あるごとに、この教育目標『自ら育つ』を生徒達に訴えるようにしています。
  『自ら育つ』とは、私なりに解釈しますと、「自ら考え、自ら判断し、自ら動けるまで育つ」ということだと思います。まさしく、今年の3月、新たに告示された学習指導要領でも再確認された「生きる力」が育つということではないでしょうか。“育てる”ではなく、“育つ”と表現していることが、また大事なことなのです。行事などでは、先生に指示されたり、先生に教えられたりして活動するのではなく、中学生のうちから、自分たちの力で活動してほしいのです。本校の先生達は、下から、横から、生徒達を支援するだけです。消して、上から指示をしたり、教えたりはしません。だからこそ、瑞江中学校の生徒達は、「生きる力」が、そして、その中でも「豊かな心」が“育つ”のだと思います。
  来る12月19日(金)に、授業公開と研究説明会が行われる、今年度の江戸川区教育課題実践推進校としての研究は、研究のための研究ではなく、今までの瑞江中学校が行ってきた、教育目標『自ら育つ』の達成のための実践をまとめてみて、まだ不十分なところを改善し、より良き実践にしていくことがそもそもの研究の目的なのです。そして、この「豊かな心」をはぐくむ場として、特に『行事』と『道徳』に照準を当ててみました。
  この度の学習指導要領の改定の基本的な考え方のうち、
   ◆教育基本法改正等で明確になった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成
   ◆道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成
が、今回の研究の根幹となるし、また、来年度から新学習指導要領の「総則」と「道徳」は、全面実施の平成24年度を待たずに、直ちに先行実施されることを考えたならば、この研究を今年度行うことには大変意義があると言えるのではないでしょうか。

  私は、この研究説明の日には、誰よりも一番、保護者の皆様にお出でいただきたいのです。それは、お子様たちが、何が、どのようにして、どの程度育っているのかを、知っていただきたいからです。そして、学校だけでは不十分なところを、各ご家庭で、補っていただきたいのです。
  もちろん、当日の、会場でのお手伝いも、昨年度の60周年記念行事に引き続き、ぜひ、よろしくお願い申し上げます。
  来年度からも、私達、江戸川区立瑞江中学校の教職員は、保護者や地域の方々のご支援をいただきながら、どのような苦難があろうとも、生徒ともども『自ら育つ』ことを、お誓い申し上げます。



2008/11/11(火)

「 学 校 だ よ り 」 平成20年度10月号

Posted by 校長 野口直人 at 1:46 午後
Edited on: 2008/11/27(木) 12:29 午後
Categories: 001_お知らせ, 002_校長より

「ルービックキューブとノーベル賞」

校 長  野 口  直 人

 10月に入ってからの朝礼で、全校生徒は国際レベルの才能を見ることとなりました。

  9月のある日、2年生(一班分)と、給食を持ち寄っての校長室での会食を行っていたとき、2年のT君は、ルービックキューブ(ハンガリーの建築家ルービックが、1978年に考案したパズルで、日本でも1980、81年大ブームになりました。毎年、ハンガリーで世界大会が開かれるそうですが、昨年の大会では、1位と3位が、日本人でした。)の6面完成を今年中に20秒を切りたいと話しました。「それはすごい」ということで、「今度、朝礼で全校生徒に見てもらおうか」ということになりました。もう一人上手なのが、同じクラスのU君なので、二人で行うことになりました。

  そして、10月6日(月)の朝礼が、二人のデビューの日となりました。まず、U君・・・・・・・結果は、約52秒。そして次は、T君・・・・・・・結果は、見事29秒。二人とも、満場の拍手を受けました。  
 瑞江中学校の生徒のすばらしい才能の一つでした。

  さて、世界の才能や、その才能による功績を讃えるのが、ノーベル賞であることはよく知られていますが、今年は、日本人が一度に4人も受賞することになり、つい最近、騒がれましたよね。
  受賞の対象になったのは、3人が物理学で1人が化学でしたが、これらの研究の出発のすべてが、「なぜ?」という興味なんですね。
  日本人として16人目(物理学賞の南部さんは、日本人ですが、アメリカ合衆国国籍なのでアメリカ合衆国にカウントされますので、日本としては15人目)のノーベル賞受賞者は、化学賞の下村修さんですが、「なぜ、クラゲは光るのか?」から始まりました。
  自分で光る生物には、クラゲ、蛍、キノコ、サンゴなどがありますが、なぜ光るのか解明できているのはごくわずかです。海にいる生物で、光ることの理由は、海に入り込む太陽光線による自分の影で敵に発見されるのを防ぐよう、光ることにより影を消すためとか、逆に光ることにより敵を脅すためとか、自分の仲間とコミュニケーションを取るためとかが、考えられています。
  下村さんは、「なぜ、クラゲは光るのか?」を研究するために、家族総出で、年間5万匹、今までで数十万匹のオワンクラゲを捕獲したそうです。下村さんが研究していたのは、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州のウッズホール海洋生物学研究所でしたが、下村さんは、土日でも研究所に通い、夜中まで研究し、一週間泊まり込むことも何度もありました。ノーベル賞のための研究には、才能が出発点ではなく、「なぜ?」という興味・関心であり、そして次に必要なのは、長年にわたる研究を続ける『忍耐力』です。下村さんには、それらがすべて備わっていたのですね。
  下村さんがオワンクラゲから発見した、光る原因だった緑色蛍光たんぱく質(GFP)は、今では生命科学の研究現場では欠かせない物質になっています。GFPとその遺伝子によって、たんぱく質を蛍光標識し、ガン細胞が広がる過程などを生きた細胞で観察できるようになったのです。「なぜ、クラゲは光るのか?」が、生命科学の発展に大きく貢献したのです。

  さて、今は、子どもの「科学離れ」が心配されている時代ですが、今回の4人もの日本人のノーベル物理学賞、化学賞の受賞によって、「科学離れ」が解消されていくのではないでしょうか。江戸川区は科学教育センターに力を入れている数少ない区ですが、毎年、希望者が増えて、制限しなければならないくらいです。そのため、中学校では今まで、鹿本中、松江五中、西葛西中の3カ所がセンター校でしたが、来年度からは、小松川一中と本校の2カ所が新たに加わります。従って、瑞江中の生徒も、せっかく本校が科学教育センター校になるのですから、こぞって科学教育センターに応募してください。

  ルービックキューブに見られるような才能と、「なぜ?」という興味・関心と、最後までやり通す『忍耐力』があれば、将来、瑞江中学校の生徒からノーベル賞受賞者が生まれるかも知れませんね。

 瑞江中から、ノーベル賞が“自ら育つ”!